2014調査研究発表会

◆ 調査研究発表会の開催(平成26年度)

今年度は例年10月の住生活月間に行っている前年度の調査研究の発表テーマの内、下記については発表者の都合により先行して7月に行った。

【日 時】 平成26年7月16日(水) 18:30~20:30

【会 場】 ㈱ライフ・カルチャー・センター 会議室

〒102-0093 東京都千代田区平河町1-3-7 アルタ平河町ビル2階

【内 容】

台湾の住宅地再生におけるコミュニティ形成に関する調査研究

<発表者>

陳 建中(東京大学大学院工学系研究科建築学専攻博士課程)

<コメンテーター>

大月 敏雄(東京大学大学院工学系研究科建築学専攻教授)

<概要>

本研究は、台湾の住宅地の歴史や住宅政策を概観し、台湾における住宅の全体像をつかむことを目指し、さらに、台湾における各種住宅の事例調査を通して、実態を把握した上で、今後の住宅地再生やコミュニティ形成の課題について整理を行っている。

報告書は8章で構成され、第1章では、台湾における住宅の概要・歴史と、戦後の住宅関連施設について整理し、第2章では公的住宅、第3章では「連棟透天厝」(台湾の連続住宅)、第4章では民間中高層集合住宅、第5章では高齢者向けの住宅について、それぞれの実態を明らかにし今後の課題について言及している。さらに第6章では既成市街地の実態と再生の課題についてまとめ、第7章では歴史保存運動と再生の課題についてふれている。そして最後の第8章では各章のまとめを行った上で、今後の台湾における住宅地の展望について整理している。 発表会ではこれらについて報告し議論を深めた。


住生活月間協賛で下記「都市・住宅団地の再生に関する調査研究発表会」を開催した。

また、発表者を囲む会も同時に開催し、内容の理解向上と参加者間での交流促進を図った。


  • 東京会場(第1回)

【日 時】 平成26年10月6日(月) 18:30~21:00

【会 場】 霞が関東海倶楽部(霞が関ビル35階)

【内 容】

(1)1970年代の再生(建替え)後、約40年を経た都内の団地の原点とも いえる戸山ハイツの現状と今後の展望に関する調査研究

<発表者>

日本女子大学 定行まり子、古賀繭子 他

<概要>

都営住宅は昭和40年代以前に建設されたストックについて順次建替えが進められているが、これ以降に建設された都営住宅は当面、そのまま活用される方針にある。都営住宅は入居者条件等の特質から居住者の定着率は高く、居住者の少子高齢化・世帯人数の縮小化が深刻な問題となっている。本調査では都営戸山ハイツを対象とし、建設から65年あまりの歴史を紐解き、居住者の生活実態および意識、戸山ハイツ内施設の利用実態および近隣との関係性等の調査から、都営戸山ハイツ居住者が安心して生活していくために必要なこと、並びに地域にとっての当団地の存在価値について検討した。そして、これらを通して都営戸山ハイツにおける居住環境や施設利用の問題点と課題をまとめ今後の展開に向け都営戸山ハイツに求められるものを提示しているがこれらについて発表した。尚、本内容は他の公営団地の再生にも示唆を与えるものと思われる。

(2)首都圏におけるニュータウンの現状と課題―昭和年代の公団開発地区を中心として(その2:総括編)

<発表者>

特定非営利活動法人まちナビ倶楽部 理事長 中村克巳 他

<概要>

本調査は公団(現:UR都市再生機構)が首都圏において主に昭和年代に実施した中規模ニュータウン30地区について、2ヶ年にわたり現地調査等を行い現状の把握や課題の検討を行ったものである。調査の結果、ニュータウンは人口増加の受け皿機能を果たすとともに、周辺地域の発展にも大きな貢献をしてきた。各地区はそれぞれの歴史が蓄積され、良好な住環境があり、概ね高い「住みごこち度」を有していた。一方、少子高齢化が確実に進んでおり、地区によっては居住人口の減少や空き家の増加、施設や住宅の陳腐化・老朽化の問題などがあることも指摘された。そしてニュータウンの今後の課題や果たすべき役割についての考察を行いまとめとしているがこれらについて発表した。

・東京会場(第2回)

【日 時】 平成26年10月29日(水) 18:30~20:30

【会 場】 霞が関東海倶楽部(霞が関ビル35階)

【内 容】

オランダの居住地空間再生とコミュニティ形成に関する調査研究

<発表者>

元長岡造形大学 横山浩 他(一財)日本開発構想研究所

<概要>

国際的に重要な役割を果たしているオランダの都市づくりの動向について、都市計画家協会「オランダ研究会有志」が中心となり、最新の現地情報を有する4人の専門家を招いての「講演+意見交換」を行う中で得られた知見や今日的評価をとりまとめた。4年前に行われた「オランダの都市づくり・住宅地づくりとその実践的手法に関する調査研究」で報告された“動向の調査”から一歩踏み込み、今回の調査では最近の国際的思潮やオランダの近代史・都市史に照らしての評価、また先進諸国共通の悩みである、“高齢化社会対応の最新動向”(認知症対策、尊厳死等)について具体事例を含む情報を収集しているがそれらについて発表した。


京都会場

【日 時】

平成26年10月14日(火) 18:00~20:00

【会 場】 コープイン京都

【内 容】

京都の都心居住と京町家に関する研究

<発表者>

京都の都心居住と京町家に関する研究会(京都大学 高田光雄 他)

㈱URサポート

<概要>

京都には、1200年以上にわたる都市居住文化のさまざまな知恵の蓄積がある。この蓄積の継承と発展は、現代世代だけでなく将来世代にとっても重要な意味を持つものである。京町家はこの居住文化が形成される過程で生まれ、居住文化を育てる大切な空間として機能してきた。このことをふまえ、京都の居住文化の継承と発展という視点から、京町家の保全や再生の意義が問われ、内容が評価されるべきである。本研究は、こうした認識の下に、「都心居住」という視点から京町家の保全・再生の歩みを振り返るとともに、現代における取り組みの意義や課題を確認し、これからの都心居住を展望するにあたって京町家やその保全・再生活動から学ぶべき事項を検討しているがこれらについて発表した。