ごあいさつ

 アーバンハウジングは、昭和61年、建設省所管の認可法人として設立され、その後、平成24年4月から内閣府所管の公益財団法人として再出発することになりました。これからも、アーバンハウジングという名のとおり、都市住宅を対象として公益性を強く念頭に置いた調査研究を進めてまいります。

いわゆるマンションは、いまや700万戸近くに達し、我が国の大都市居住の代表的な住宅となっています。しかし、マンション居住は、コミュニティ形成のためには、居住者間の人間関係の希薄化という大きな問題を抱えていました。

かつての農村社会におけるコミュニティとは異質なものでしょうが、大都市においても、人々が生活していくためには、居住者相互の連帯、適当な距離感を持った人間関係など、新しいスタイルのコミュニティの存在は必要なものです。さらに、近年の大都市における福祉、防犯防災の観点からもその必要性は高まるばかりです。

また、当財団は、マンションとその周辺の市街地住宅との関係、さらには、京町家や大阪長屋といった伝統的な市街地住宅の居住スタイルの動向についても深い関心を持っています。

さらに、都市住宅居住を支える露地、たまり場、界隈といった都市の快適な味わいある空間が都市の文化財であるように、都市住宅の居住スタイルもその地域における文化だと思います。将来に向けて、よりよいコミュニティに支えられたわが国の都市住宅文化の形成を願っています。

そして、そのような目的をもって、国内の大都市における都市住宅居住の調査研究のほか、先駆的なヨーロッパの都市居住、近隣の東アジアの都市居住についても調査研究を進め、わが国の参考にしたいと思っています。

引き続き、関係者のご支援、ご協力、ご助言をお願いいたします。

令和3年9月            

公益財団法人アーバンハウジング理事長

  内 藤  勲